
1990年代は、多様なジャンルが大きく進化し、音楽業界がグローバル化を遂げた時代だ。ヒップホップやR&Bが台頭する一方で、グランジやオルタナティブ・ロックが若者の心をつかんだ。また、ポップスではマライア・キャリーやブリトニー・スピアーズといったスターが登場し、音楽シーンを盛り上げた。この時代はインターネットが普及し始めたことで、音楽の流通や消費スタイルにも大きな変化が生まれた重要な時期でもある。
この記事では、1990年代を代表するヒット曲を厳選し、それぞれの楽曲の魅力や背景を掘り下げて紹介する。この時代の音楽が持つ多様性とエネルギーを、一緒に再発見しよう。
ジャネット・ジャクソン「エスカペイド」
ジャネット・ジャクソンの「エスカペイド」は1990年1月にリリースされた。アップビートでキャッチーなこの曲は、自由と楽しさをテーマにしたダンスナンバーで、彼女のアルバム『Janet Jackson’s Rhythm Nation 1814』からのシングルとして大ヒット。明るいメロディとポジティブな歌詞が魅力で、ジャネットの代表曲の一つとして今も多くのファンに愛されている。
ウィルソン・フィリップス「ホールド・オン」
ウィルソン・フィリップスの「ホールド・オン」は、1990年2月にリリースされたデビューシングルだ。軽快なポップロックサウンドと美しいハーモニーが魅力で、逆境に負けず前を向いて生きる強さを歌っている。メンバー3人の清涼感ある歌声と前向きなメッセージが共感を呼び、ビルボード・ホット100で1位を獲得する大ヒットとなった。
マドンナ「ヴォーグ」
マドンナの「ヴォーグ」は、1990年5月にリリースされた代表曲の一つだ。この楽曲は、ダンスカルチャーに着想を得たスタイリッシュなサウンドと、"ヴォーギング"というポーズを決めながら踊る独特のスタイルを取り入れたミュージックビデオが話題となり、世界的なヒットを記録した。
M.C.ハマー「U・キャント・タッチ・ジス」
M.C.ハマーの「U・キャント・タッチ・ジス」は、1990年5月にリリースされたヒップホップの名曲だ。この楽曲は、リック・ジェームスの「スーパー・フリーク」をサンプリングしたキャッチーなビートと、印象的なフレーズ「Can't Touch This」で一躍有名になり、ハマーの象徴的なダンススタイルとともに大ヒットを記録した。
ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック「ステップ・バイ・ステップ」
ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの「ステップ・バイ・ステップ」は、1990年6月にリリースされた楽曲だ。ポップでキャッチーなメロディとリズミカルなビートが特徴で、恋愛における一歩一歩の成長や前向きな気持ちを歌った歌詞が印象的だ。グループのハーモニーとダンスパフォーマンスが多くのファンを魅了し、大ヒットとなった。
R.E.M.「ルージング・マイ・レリジョン」
R.E.M.の「ルージング・マイ・レリジョン」は、1991年2月にリリースされたバンドの代表曲だ。マンドリンを取り入れた独特のサウンドと詩的な歌詞が特徴で、リリース後すぐに世界的な注目を集め、オルタナティブ・ロックの名曲として広く知られるようになった。
マイケル・ジャクソン「ブラック・オア・ホワイト」
マイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」は、1991年11月にリリースされたシングルで、人種差別撤廃と平等を訴えるメッセージソングだ。ロックとヒップホップを融合させた力強いサウンドが特徴で、世界中で大ヒットを記録した。
エリック・クラプトン「ティアーズ・イン・ヘヴン」
エリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘヴン」は、1991年12月にリリースされた感動的なバラードだ。この曲は、クラプトンが愛する息子を亡くした悲しみを反映した深い歌詞と、美しいメロディで世界中の心を揺さぶり、彼のキャリアの中でも特に象徴的な作品として広く知られている。
ボーイズIIメン「エンド・オブ・ザ・ロード」
ボーイズIIメンの「エンド・オブ・ザ・ロード」は、1992年6月にリリースされた代表的なバラードだ。感情的な歌詞と美しいハーモニーが印象的で、発売直後から大ヒットを記録し、当時のBillboard Hot 100で13週連続1位という快挙を達成した。
ホイットニー・ヒューストン「アイム・エヴリ・ウーマン」
ホイットニー・ヒューストンの「アイム・エヴリ・ウーマン」は、1993年1月にリリースされた楽曲だ。この曲は、チャカ・カーンのオリジナルをカバーしたもので、ホイットニーならではの力強い歌声とアレンジが加わり、映画『ボディガード』のサウンドトラックの一部として新たな輝きを放った。
ボビー・ブラウン「ゲット・アウェイ」
ボビー・ブラウンの「ゲット・アウェイ」は、1993年1月にリリースされた楽曲だ。ファンキーでエネルギッシュなサウンドと、ボビーの力強いボーカルが特徴で、アルバム『Bobby』からのヒット曲の一つとして知られている。
エイス・オブ・ベイス「ザ・サイン」
エイス・オブ・ベイスの「ザ・サイン」は、1993年11月にリリースされたスウェーデンのポップグループによる代表曲だ。軽快なリズムとキャッチーなメロディが特徴で、レゲエやユーロポップの要素を融合させたサウンドが印象的だ。この曲は世界的に大ヒットし、アメリカのビルボード・ホット100で1位を獲得。グループの名を一躍世界に知らしめた作品となった。
ボーイズIIメン「メイク・ラブ・トゥ・ユー」
ボーイズIIメンの「メイク・ラブ・トゥ・ユー」は、1994年7月にリリースされたロマンティックなバラードだ。甘美なメロディとシルクのようなハーモニーが特徴で、Billboard Hot 100で14週連続1位を記録し、R&Bの名曲として広く愛されている。
ボーイズIIメン「ベンデッド・ニー」
ボーイズIIメンの「ベンデッド・ニー」は、1994年11月にリリースされた感動的なバラードだ。切ない歌詞と美しいハーモニーが融合したこの楽曲は、Billboard Hot 100で1位を獲得し、彼らの代表曲の一つとして知られている。
マライヤ・キャリー&ボーイズIIメン「ワン・スウィート・デイ」
マライヤ・キャリーとボーイズIIメンの「ワン・スウィート・デイ」は、1995年11月にリリースされた感動的なデュエット曲だ。愛する人を失った悲しみをテーマにした歌詞と、二組のアーティストによる圧巻のハーモニーが融合したこの楽曲は、Billboard Hot 100で16週連続1位という記録を樹立し、歴史的なヒットとなった。
アラニス・モリセット「アイロニック」
アラニス・モリセットの「アイロニック(Ironic)」は、1996年2月にリリースされたシングルで、彼女の代表作のひとつとして知られている。皮肉や運命のいたずらをテーマにした歌詞がユニークで、語りかけるようなボーカルとロックサウンドが印象的だ。アルバム『ジャグド・リトル・ピル』からのヒット曲として、世界中で高い評価を受けた。
クイーン「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」
クイーンの「I Was Born to Love You(ボーン・トゥ・ラヴ・ユー)」は、1996年2月にリリースされた楽曲で、もともとはフレディ・マーキュリーの1985年のソロ作品を、残されたメンバーが再アレンジしてクイーン版として発表したもの。ロックとダンスが融合したエネルギッシュなサウンドに、フレディの情熱的なボーカルが重なり、永遠の愛を歌い上げている。日本でも特に人気が高く、テレビドラマの主題歌としても注目を集めた。
アラニス・モリセット「ヘッド・オーバー・フィート」
アラニス・モリセットの「ヘッド・オーバー・フィート(Head over Feet)」は、1996年7月にリリースされたシングルで、アルバム『ジャグド・リトル・ピル』からの代表的なバラードのひとつだ。友情から始まった恋が深い愛に変わっていく様子を、誠実で等身大の言葉で綴っている。シンプルなメロディと温かみのあるボーカルが心に残り、リスナーに静かな感動を与える楽曲となっている。
マライア・キャリー「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」
マライア・キャリーの「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」は1996年3月にリリースされた。甘く切ないメロディと洗練されたR&Bサウンドが特徴のこの曲は、別れた後も消えない愛を歌ったバラード。ジャーメイン・デュプリ、マヌエル・シールと共に制作されたこの楽曲は、彼女の代表曲の一つとして広く知られ、キャリアの中でも特に人気の高い作品となっている。
カーディガンズ「ラヴフール」
カーディガンズの「Lovefool(ラヴフール)」は、1996年9月にリリースされたポップソングで、アルバム『First Band on the Moon』に収録されている。キャッチーで軽快なメロディとは裏腹に、「愛されたい」という切実な願いを歌った歌詞が印象的で、甘さと切なさが同居する一曲となっている。映画『ロミオ+ジュリエット』のサウンドトラックにも使用され、世界的なヒットを記録した。