洋楽

マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」

Marvin Gaye

マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」

マーヴィン・ゲイとタミー・テレルによるデュエット「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は、1960年代を代表するソウル・デュエットソングであり、モータウンを象徴する名曲のひとつだ。2人の息の合った掛け合い、エネルギッシュなリズム、そして力強いメッセージは、音楽ファンやミュージシャンから高く評価され続けている。愛する人を想う情熱をこれほどまでに力強く、爽快に表現した楽曲は他に類を見ない。この名曲の背景や魅力を、さまざまな角度から紹介する。

曲の概要

「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は1967年4月にリリースされたシングルで、マーヴィン・ゲイとタミー・テレルのデュエット曲として発表された。
歌詞の内容は「どんな山や川も乗り越えて、愛するあなたのもとへ駆けつける」という、愛の力強さを歌ったもの。障害をものともせず、全力で愛を伝えるというストレートなメッセージが、多くのリスナーの心を掴んだ。

音楽的には、ゴスペルにルーツを持つ力強いコーラスワークと、モータウンサウンドならではの軽快なリズムが特徴的。イントロから響くストリングスとホーンが曲全体に華やかさを加え、明るく前向きなムードを作り出している。
マーヴィン・ゲイの温かく柔らかい歌声と、タミー・テレルの明るく伸びやかなボーカルが絶妙に絡み合い、2人の掛け合いがまるで会話しているかのような自然な流れを生み出している。

作詞・作曲とプロデューサー

作詞・作曲を手掛けたのは、ニコラス・アシュフォードとヴァレリー・シンプソン。
この2人は、のちに夫婦となり、モータウンを代表するソングライターチームとして数々の名曲を生み出すことになる。「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は、そんなアシュフォード&シンプソンの出世作とも言える一曲だ。
彼らはゴスペル音楽に根差した力強いメロディラインを得意とし、そこにポップな感覚を加えることで、幅広い層に愛される楽曲を生み出した。

プロデュースは、モータウンの創設者であるベリー・ゴーディが率いるモータウン制作チームが担当。モータウンの看板バンド「ファンク・ブラザーズ」による演奏が楽曲にグルーヴと厚みを加え、モータウンサウンド特有の洗練されたポップ感も見事に表現されている。
特にアシュフォード&シンプソンがレコーディング時に細部までこだわり抜いたアレンジは、ゴスペル的な熱さとポップソウルの洗練を絶妙に融合させ、他のモータウン作品とも一線を画すクオリティに仕上がっている。

チャート

「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は、リリース直後から全米で大きな反響を呼び、ビルボード・R&Bチャートで3位、ポップチャートでも19位を記録した。
デュエットソングとしても高い評価を受け、以後、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルは黄金コンビとして数々のヒット曲を生み出すことになる。

さらに1970年には、ダイアナ・ロスがこの曲をカバーし、再びビルボード・ホット100で1位を獲得。オリジナル版とダイアナ・ロス版のどちらも名曲として語り継がれ、時代を超えて愛されるスタンダードナンバーとなっている。

ミュージック・ビデオ

1967年当時、現在のようなミュージックビデオ文化はまだ存在していなかったため、「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」の公式ビデオは存在しない。
しかし、モータウンのテレビ出演映像や、ステージパフォーマンス映像が多く残されており、2人が笑顔で掛け合いながら歌う姿を見ることができる。
特に、タミー・テレルがマーヴィン・ゲイの肩に寄りかかりながら歌うシーンは、2人の親密な関係性を象徴する名場面としてファンの間でも語り継がれている。

映像作品としては、後年制作されたモータウンのドキュメンタリー作品などで、この曲の録音風景やライブ映像が紹介されることが多く、当時の空気感を知る貴重な資料となっている。

現在でもこの曲は映画やCMなどで使用される機会が多く、2人の爽やかなデュエットが時代を超えて多くの人の心に響き続けている。

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マーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」

マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」は、1971年に発表されたソウル史に残る名曲である。ヴェトナム戦争や社会不安に揺れる時代背景の中で生まれたこの曲は、愛と平和を訴えるメッセージを力強く届けている。メロウなサウンドと柔らかな歌声が融合し、同時に深い社会性を帯びた楽曲として、リスナーに普遍的な問いかけを投げかけ続けている。マーヴィン・ゲイの代表作であると同時に、音楽が社会に果たし得る役割を示す象徴的な作品となっている。


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