
ジェイソン・デルーロ「イン・マイ・ヘッド」
2009年12月にリリースされたジェイソン・デルーロ(Jason Derulo)の「イン・マイ・ヘッド(In My Head)」は、彼のキャリア初期を代表するエネルギッシュなポップ・ダンス・トラックである。デビューシングル「Whatcha Say」の成功に続き、デルーロがポップスターとしての存在感を確立したこの楽曲は、強いメロディとビート主導のプロダクション、そして恋愛にまつわる若々しい自信をテーマに展開される。
シンガーとしてだけでなく、ダンサーとしても才能を持つジェイソン・デルーロにとって、この曲は音楽とパフォーマンスを結びつける上で重要な意味を持っていた。キャッチーなサビとクラブ仕様のサウンドは、当時の音楽トレンドを見事に捉え、多くのリスナーの心をつかんだ。
曲の概要
「イン・マイ・ヘッド」は、アップテンポなポップ・ダンス・ナンバーであり、シンセサイザーを主軸にしたトラック構成が特徴的である。ジャンル的にはダンス・ポップとエレクトロ・ポップを基盤とし、当時のラジオヒットの傾向に合致したサウンドでありながら、ジェイソン・デルーロならではのメロディセンスとボーカルの存在感が際立っている。
歌詞では、デルーロが理想の女性との恋愛関係を妄想し、その実現を願う姿が描かれている。実際にはまだ進展していない関係を「In my head(僕の頭の中では)」というフレーズで繰り返しながら、彼女の気持ちを自分のほうへ引き寄せようとする姿勢がユーモラスかつ力強く表現されている。
リズムは4つ打ちのキックドラムにシンコペーションを加えたもので、クラブミュージックとしての親和性が高い。サビに向かって徐々に盛り上がる構成も、ライブやDJプレイの場面での効果を意識した作りとなっている。
作詞・作曲とプロデューサー
この楽曲は、ジェイソン・デルーロ(ジェイソン・デルーロ本人)、クロード・ケリー(Claude Kelly/クロード・ケリー)、そしてJ.R. ロテム(J.R. Rotem/ジェイ・アール・ロテム)の3人によって作詞・作曲された。
クロード・ケリーは、当時数多くのヒット曲を手がけていたソングライターであり、キャッチーで覚えやすいメロディラインを作ることに長けている。この曲でも彼の影響が強く感じられ、特にサビのフックの中毒性の高さは彼の得意とするスタイルに近い。
プロデューサーを務めたJ.R. ロテムは、アメリカのポップ/ヒップホップ業界で多数の実績を持つ人物で、本曲においてはシンセベースと電子的なドラムを駆使して、近未来的かつクラブフレンドリーなトラックを作り上げている。彼はまた、冒頭の印象的な「J-J-J-J-J.R.」というプロデューサータグでも知られており、本作でもそのサウンドブランディングが活かされている。
なお、デルーロ自身もメロディ制作と歌詞の発想に積極的に関与しており、アーティストとしてのクリエイティブな側面も十分に感じられる作品となっている。
チャート
「イン・マイ・ヘッド」は、アメリカのBillboard Hot 100で最高5位を記録し、デルーロにとって2曲連続のトップ10ヒットとなった。特にポップス向けラジオ局での再生数が高く、Mainstream Top 40チャートでは首位を獲得している。
また、国際的にも大きな成功を収めており、イギリスのUK Singles Chartでは1位を獲得し、オーストラリア、アイルランド、ノルウェー、カナダなどでも上位にランクインしている。全世界での売上は数百万枚を超え、ジェイソン・デルーロの名を世界に知らしめる決定打となった。
この曲のヒットにより、デルーロはラジオ・フレンドリーなポップスターとしての地位を確立し、以後の作品でも同様のスタイルを基調としながら進化を遂げていくことになる。
ミュージック・ビデオ
「イン・マイ・ヘッド」のミュージック・ビデオは、アメリカの有名ダンサーであり振付師としても知られるマイケル・ルーニー(Michael Rooney)が監督を務めている。映像ではジェイソン・デルーロが、クラブの外で一人の女性にアプローチし、次第に幻想と現実が交錯するダンスバトルへと展開していく構成が採られている。
パフォーマンスシーンでは、デルーロの優れたダンススキルが前面に押し出されており、ボーカルだけでなく、身体全体を使ったエンターテインメント性が楽曲の世界観を拡張している。特にブレイク部分でのシンクロダンスは視覚的なインパクトが強く、彼のアーティスト像を強化する映像演出となっている。
衣装や照明もシンプルかつスタイリッシュで、当時のクラブカルチャーやストリートファッションを反映しており、ビジュアル面でも楽曲と高い親和性を持っている。
「イン・マイ・ヘッド」は、ジェイソン・デルーロの持つポップセンスとダンススキルが高次元で融合した楽曲であり、2000年代後半から2010年代初頭にかけてのポップミュージックの流れを象徴する一曲でもある。音楽ファンにとってはキャッチーで踊れるポップソングとして、ミュージシャンにとっては、メロディの構築、トラックのバランス、そしてプロデュースの完成度の高さから多くの学びが得られる作品である。
この楽曲は、ジェイソン・デルーロのスタイルを確立しただけでなく、ポップスとクラブミュージックの融合というテーマにおいても、時代を象徴する重要な一例といえるだろう。
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