
セレーナ・ゴメス「カム&ゲット・イット」
ディズニーチャンネル出身のポップアイコン、セレーナ・ゴメスは、俳優業と音楽活動の両面でキャリアを築いてきたアーティストである。その中でも2013年にリリースされた「Come & Get It(カム・アンド・ゲット・イット)」は、彼女にとって転機となる作品であり、セレーナ・ゴメスの音楽的成熟を示す楽曲として高く評価されている。
この楽曲は、それまでのティーン・ポップから一歩踏み出し、より大人びたサウンドとビジュアルを備えたもので、リスナーに新たなセレーナ像を印象づけた。ここでは、この「Come & Get It」について、音楽ファンやミュージシャンに向けて、その構成や制作陣、チャートでの成功、ミュージック・ビデオの内容まで詳しく解説していく。
曲の概要
「Come & Get It」は、2013年4月にリリースされたセレーナ・ゴメスのソロ名義として初のシングルであり、同年発売のデビューアルバム『Stars Dance』に収録されている。ジャンルとしてはエレクトロ・ポップやダンス・ポップに分類されるが、特に特徴的なのはインド音楽や中東音楽の要素を取り入れた民族的なサウンドだ。
印象的なタブラのビートとエキゾチックなメロディラインが織りなすこの楽曲は、従来のアメリカン・ポップスとは一線を画しており、セレーナの新たなアーティスト像を確立するうえで重要な役割を果たした。
歌詞は恋愛における主導権をテーマにしており、「愛が欲しければ取りに来て」という挑発的かつ自信に満ちたメッセージが込められている。セレーナのヴォーカルも、これまで以上に官能的で落ち着いたトーンとなっており、ティーンアイドルのイメージからの脱却を狙ったことが明白に伝わってくる。
作詞・作曲とプロデューサー
「Come & Get It」の制作陣は、当時のヒットメイカーたちによって構成されている。作詞・作曲は、エスター・ディーン、マーティン・サンダーヴィーク、そしてスターゲイト(Stargate)のコンビであるミケル・エリクセンとトール・エルメンが手掛けた。
中でもスターゲイトは、リアーナ、ビヨンセ、ケイティ・ペリーなど数々のトップアーティストの楽曲を手掛けたことで知られるプロデュース・チームであり、その洗練されたサウンド・プロダクションはこの曲でも遺憾なく発揮されている。
サウンド面では、シンセパッドやエレクトロニック・ドラムに加えて、タブラやシタール風の音色が随所に散りばめられ、エスニックな雰囲気を作り上げている。特にイントロ部分のインパクトは大きく、リスナーの耳を一瞬で引き込む力を持っている。
ヴォーカルのレコーディングにおいては、セレーナ自身の表現力が進化しており、柔らかさと力強さを兼ね備えた歌唱で楽曲の世界観を見事に体現している。
チャート
「Come & Get It」は商業的にも大きな成功を収めた。アメリカのビルボードHot 100では最高6位を記録し、セレーナ・ゴメスにとって初のトップ10入りシングルとなった。また、アダルト・ポップやダンス・クラブソングスなど複数のチャートでも上位にランクインし、彼女のソロアーティストとしての実力を証明する結果となった。
さらに、カナダやイギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々でもヒットを記録し、国際的な人気を広げるきっかけとなった。アメリカではプラチナ認定を受け、セレーナのキャリアにおける代表曲のひとつとして定着している。
この成功により、彼女はMTV Video Music AwardsやTeen Choice Awardsなどの各種音楽賞でもノミネートや受賞を果たしており、業界内外での評価を高めた。
ミュージック・ビデオ
「Come & Get It」のミュージック・ビデオは、アンソニー・マンドラーが監督を務めた。マンドラーはリアーナやラナ・デル・レイなどの映像作品でも知られる映像作家であり、その独特の美的センスが本作にも強く反映されている。
ビデオでは、自然の中で舞うセレーナ、燃え上がる炎、神秘的な湖などが交互に映し出され、幻想的かつ官能的な世界観が表現されている。赤や黒といった濃密な色彩が印象的で、衣装やメイクもアジアンテイストを取り入れたエスニックなスタイルとなっている。
ダンスシーンも大きな見どころで、伝統的な民族舞踊の要素をモダンにアレンジした振付が特徴的である。視覚的にも聴覚的にも強いインパクトを持つこのビデオは、セレーナのアーティストとしての表現力の幅を感じさせる内容となっており、多くの視聴者から高い評価を受けた。
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