
マーチ(行進曲)は、軍隊や式典、パレードなどで演奏されるリズミカルな音楽ジャンルだ。力強く規則的なビートと勇壮なメロディは、人々に勇気と一体感をもたらしてきた。ここでは、世界中で親しまれている代表的なマーチの名曲を紹介する。
スーザ「星条旗よ永遠なれ」
「マーチ王」と呼ばれるジョン・フィリップ・スーザが1896年に作曲した「星条旗よ永遠なれ(The Stars and Stripes Forever)」は、アメリカを代表する行進曲だ。快活なリズムと高揚感あふれるメロディで、アメリカの国家行事には欠かせない存在となっている。
エルガー「威風堂々 第1番」
エドワード・エルガーによる「威風堂々 第1番(Pomp and Circumstance March No.1)」は、英国王室や卒業式などで頻繁に演奏される荘厳なマーチだ。特に中間部の旋律は「希望と栄光の国」として歌われ、多くの人々に感動を与えている。
ワーグナー「双頭の鷲の旗の下に」
リヒャルト・ワーグナー作曲の「双頭の鷲の旗の下に(Unter dem Doppeladler)」は、オーストリア帝国時代の軍隊行進曲として親しまれた。重厚でドラマチックな展開が特徴で、ヨーロッパ各地で人気を博した。
ベートーヴェン「トルコ行進曲」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した「トルコ行進曲(Die Ruinen von Athenより)」は、トルコ風の打楽器リズムを取り入れた軽快な作品だ。躍動感あふれる旋律は、演奏会でも人気の高いナンバーとなっている。
ヴェルディ「凱旋行進曲」
ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『アイーダ』に登場する「凱旋行進曲(Marcia Trionfale)」は、勝利と栄光を祝う壮麗なマーチだ。華やかな金管楽器と力強い打楽器が織りなす音楽は、劇場だけでなく式典でも広く演奏される。
スッペ「軽騎兵」序曲よりマーチ
フランツ・フォン・スッペの「軽騎兵」序曲の中に登場するマーチ部分は、活発なリズムと明るい旋律で親しまれている。演奏会用序曲としても有名で、軽快なマーチの典型例として広く知られている。
ベルリオーズ「ラコッツィ行進曲」
エクトル・ベルリオーズの「ラコッツィ行進曲(Rakoczy March)」は、ハンガリーの民族的な誇りを讃える勇壮なマーチだ。オペラ『ファウストの劫罰』の中でも用いられ、ダイナミックなリズムと情熱的な旋律が印象的である。
プロコフィエフ「行進曲 作品99」
セルゲイ・プロコフィエフが第二次世界大戦中に作曲した「行進曲 作品99(March, Op.99)」は、力強く明快なスタイルで書かれたロシア的な行進曲だ。軍楽隊向けに書かれたため、力感あふれるサウンドが特徴となっている。
ショスタコーヴィチ「ヴァリエテ・オーケストラのための組曲より 行進曲」
ショスタコーヴィチの「ヴァリエテ・オーケストラのための組曲より 行進曲」は、ユーモアと風刺が効いた軽快な楽曲で、華やかなブラスと跳ねるようなリズムが特徴的だ。
瀬戸口藤吉「抜刀隊行進曲」
瀬戸口藤吉の「抜刀隊行進曲」は、明治時代に作られた日本初期の軍楽で、勇敢な白兵戦部隊「抜刀隊」を称えた行進曲だ。
西洋の軍楽スタイルに日本語の歌詞を乗せた先駆的な作品で、威厳ある旋律と整ったリズムが特徴。
マーチは、その力強いリズムと明快な構成によって、聴く人に活力と勇気を与えてきた。今回紹介した名曲たちは、式典や演奏会だけでなく、日常の中でも心を奮い立たせてくれる存在だ。ぜひ、これらのマーチを通して、音楽の持つ力強さを感じ取ってほしい。