プリンス「ビートに抱かれて」
1980年代の音楽シーンを語る上で、プリンスの存在は欠かせない。彼の革新的なサウンドと独自の美学は、多くのリスナーに衝撃を与えた。その代表的な楽曲のひとつが「ビートに抱かれて (When Doves Cry)」だ。1984年にリリースされたこの曲は、彼のキャリアを決定づける作品であり、今なお多くのファンに愛され続けている。
曲の概要
「When Doves Cry」は映画『パープル・レイン (Purple Rain)』のサウンドトラックに収録されたシングルであり、同映画の中でも重要な場面を彩る楽曲だ。この曲の最大の特徴は、ベースラインを完全に排除した大胆なアレンジにある。通常のポップやロックでは欠かせないベースをあえて使わないことで、空間的で緊張感のあるサウンドが生まれた。また、エレクトリックギターの鋭いリフやシンセサイザーの音色が、プリンスのボーカルと絡み合い、唯一無二の世界観を構築している。歌詞は愛と葛藤、そして心の痛みを描いており、情熱的かつ内省的な内容となっている。
作詞・作曲とプロデューサー
この楽曲はプリンス自身が作詞・作曲を手がけ、プロデュースも担当している。彼はスタジオでほぼ一人で演奏と制作を行い、その多才さとクリエイティブな発想を存分に発揮した。「When Doves Cry」は、まさにプリンスの音楽的才能が凝縮された作品と言える。
チャート
「When Doves Cry」は1984年に全米シングルチャート（Billboard Hot 100）で5週連続1位を獲得し、年間チャートでも1位に輝いた。アメリカのみならず世界各国で大ヒットを記録し、プリンスの国際的な人気を決定づけた。また、ローリング・ストーン誌の「史上最高の曲500」にも選出されるなど、音楽史に残る名曲として高い評価を得ている。
ミュージック・ビデオ
ミュージック・ビデオは映画『パープル・レイン』の映像とリンクしており、プリンスの妖艶なステージパフォーマンスや象徴的なバスタブのシーンが印象的だ。彼の独特な美意識とカリスマ性を視覚的に体験できる映像は、MTV全盛期に強烈なインパクトを残し、プリンスを80年代のアイコンへと押し上げた。
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