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イーグルス「テイク・イット・イージー」

Eagles

イーグルス「テイク・イット・イージー」

1970年代のアメリカン・ロックを語るうえで、イーグルスの存在を避けて通ることはできない。その中でも「テイク・イット・イージー(Take It Easy)」は、彼らのデビュー曲にして代表曲の一つであり、バンドの音楽的方向性を決定づけた記念碑的なナンバーである。軽快なリズムとカントリー・ロック特有の開放感あふれるサウンド、そして誰もが口ずさめるシンプルなメロディ。イーグルスが持つ普遍的な魅力が、この1曲に凝縮されている。

曲の概要

「テイク・イット・イージー」は、1972年5月にリリースされたイーグルスのデビュー・アルバム『イーグルス(Eagles)』のオープニング・トラックとして収録された。この曲は、ロード・トリップやアメリカ南西部の広大な風景を想起させる爽やかな空気感が特徴で、当時の若者たちの心を捉えた。

楽曲はGメジャーを中心に展開され、12弦ギターのきらびやかな響きと、ハーモニー重視のボーカル・アレンジが印象的だ。特にコーラスワークは、のちに「ウェスト・コースト・サウンド」と呼ばれるイーグルスの音楽スタイルの原点とも言える。

歌詞の内容は、人生におけるプレッシャーや恋愛の悩みにとらわれず、「気楽にいこうぜ」と自分に言い聞かせるような前向きなメッセージが込められている。アリゾナ州ウィンズローの町が登場する歌詞も有名で、ファンの間では“聖地巡礼”の対象になっているほどだ。

作詞・作曲とプロデューサー

この楽曲の作詞・作曲は、イーグルスの創設メンバーであるグレン・フライと、のちにソロアーティストとしても成功するジャクソン・ブラウンによる共作である。もともとこの曲はジャクソン・ブラウンが作っていたが、完成には至らず、グレン・フライが歌詞とメロディを補い、共同作品として仕上げられた。

特筆すべきはその制作過程だ。ジャクソン・ブラウンが曲の断片をピアノで弾いていたのを、グレン・フライが同じアパートの階下で耳にしていたという逸話が残っている。フライはこの曲に強い可能性を感じ、ブラウンに提案して共作が実現した。

プロデュースを手がけたのはグリン・ジョンズ。彼はザ・ローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンなどの名作を手がけた敏腕エンジニア兼プロデューサーであり、この曲でもサウンドの透明感やバンドの統一感ある演奏を引き出すことに成功している。

チャート

「テイク・イット・イージー」はアメリカのビルボード・ホット100で最高12位を記録し、当時無名に近かったイーグルスの知名度を一気に押し上げた。また、アメリカ国内のラジオ局でも盛んにオンエアされ、アルバムのヒットにも大きく貢献した。

商業的な成功だけでなく、批評家からの評価も高く、のちにこの曲はローリング・ストーン誌の「史上最も偉大な500曲」にも選出された。カントリーとロックを融合させた新たなスタイルは、多くのミュージシャンに影響を与え、ジャンルの垣根を越える作品として位置づけられている。

ミュージック・ビデオ

1972年当時、MTVのようなミュージック・ビデオ文化はまだ存在していなかったため、「テイク・イット・イージー」の公式ミュージック・ビデオは制作されていない。しかし近年、ライヴ映像や当時のプロモーション用映像がアーカイブとして公開されており、イーグルスの初期の雰囲気を感じ取ることができる。

特におすすめなのは、1973年のBBC出演時のパフォーマンス映像で、グレン・フライとドン・ヘンリーを中心にバンドの初期メンバーが真摯に演奏する姿が記録されている。演奏の安定感、ボーカル・ハーモニーの緻密さ、そして彼らの音楽に対する真剣な姿勢が垣間見える貴重な映像だ。

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