
ディール「トゥー・オケイジョンズ」
1980年代後半のR&Bシーンにおいて、ロマンティックで洗練されたバラードが求められる中、The Deeleの「Two Occasions」はその代表的存在として多くのリスナーの心をつかんだ。メロウなサウンドと甘く切ない歌詞、そして美しいメロディラインが融合したこの曲は、バンドの最大のヒットとなり、後にソロで活躍するベイビーフェイスの才能を世に知らしめるきっかけにもなった。時代を超えて愛されるR&Bバラードの名曲として、今なお多くのアーティストに影響を与え続けている。
曲の概要
「Two Occasions」は、The Deeleが1987年にリリースしたアルバム『Eyes of a Stranger』に収録されている。グループにとっては3作目のスタジオアルバムとなる本作の中で、ひときわ輝きを放つこのバラードは、夜の静けさにぴったりと寄り添うようなメロウな雰囲気を持っている。
曲の構成はシンプルながら緻密に作られており、穏やかなリズムとシンセサイザーを主体としたサウンドの中に、ピアノとストリングスが丁寧に重ねられている。歌詞では、「あなたのことを想うのは、昼と夜の2つの時だけ」というフレーズが繰り返され、恋人への想いが一貫して描かれている。その表現は一見控えめだが、実際には深い情熱と誠実さを内包しており、多くのリスナーの共感を呼んだ。
ボーカルのリードを務めるのはベイビーフェイスことケネス・エドモンズで、彼の繊細かつソウルフルな歌声が、この曲にさらなる感情の奥行きを与えている。彼の声の表現力は、単に歌詞を伝えるだけでなく、聴く者に情景や心情を想像させる力を持っており、それが本曲の最大の魅力のひとつとなっている。
作詞・作曲とプロデューサー
「Two Occasions」の作詞・作曲は、ケネス・“ベイビーフェイス”・エドモンズ、Darnell “Dee” Bristol、Sidney “Sid” Johnsonの3人によって行われた。彼らはThe Deeleのメンバーであり、特にベイビーフェイスとL.A.リードは後にプロデューサー・チームとして大きな成功を収めることとなる。
この楽曲において、彼らのソングライティングの巧みさは随所に現れている。メロディはスムーズで耳に残りやすく、コード進行はクラシックなR&Bに根ざしながらも、1980年代後半の都会的で洗練されたアレンジと融合している。これにより、時代の空気を反映しつつも普遍的な魅力を持つ作品として仕上がっている。
プロデューサーはThe Deele自身が務めており、グループの音楽的ビジョンがダイレクトに反映された作品となっている。ベイビーフェイスとL.A.リードのサウンド設計が特に重要な役割を果たしており、のちの彼らの作品群の原型を見ることができる。
チャート
「Two Occasions」はThe Deeleにとって最大の商業的成功となった楽曲で、アメリカのBillboard Hot 100では最高10位を記録した。また、R&Bチャートではさらに高く、2位にランクインしている。これにより、The Deeleは一躍R&Bシーンの第一線に躍り出ることとなった。
この楽曲の成功は、グループにとって重要な転機でもあった。ベイビーフェイスとL.A.リードはこのヒットを足がかりに、1988年以降にプロデューサー業へと本格的に移行し、TLCやトニ・ブラクストン、ボーイズIIメンなど数々の名曲を手がけるようになる。
「Two Occasions」のヒットは、単なる一過性の成功ではなく、R&Bの進化において重要なステップを刻んだものとして、後世にも評価されている。
ミュージック・ビデオ
「Two Occasions」のミュージック・ビデオは、当時のR&Bバラードにふさわしいシンプルでロマンティックな演出がなされている。暗がりの中で演奏するメンバーたちの姿と、恋人との幻想的なシーンが交互に映し出される構成は、楽曲の持つ内省的な雰囲気と見事にマッチしている。
特に印象的なのは、ベイビーフェイスがピアノを弾きながら歌う場面で、彼の感情がストレートに映像を通じて伝わってくる。1980年代のR&Bミュージック・ビデオとしては決して派手ではないが、その分、音楽そのものに焦点を当てた作りが魅力となっている。
このビデオは現在でもYouTubeなどで視聴可能であり、当時の空気感をそのまま味わえる貴重な映像資料でもある。音楽ファンや映像演出を学ぶミュージシャンにとっても参考になる内容だ。
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