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ジャスティン・ビーバー「ソーリー」

Justin Bieber

ジャスティン・ビーバー「ソーリー」

2015年にリリースされたジャスティン・ビーバーの「ソーリー(Sorry)」は、彼のイメージを刷新した楽曲のひとつとして知られている。それまでのティーン・ポップのイメージを超えて、より成熟したサウンドとパーソナルな歌詞を打ち出したこの曲は、批評家からも高い評価を受け、世界中で爆発的なヒットを記録した。

エレクトロニック・ダンス・ミュージックとダンスホールの影響を受けたプロダクション、軽快で心地よいリズム、そして“謝罪”というテーマを繊細に扱った歌詞が融合し、ジャスティン・ビーバーのアーティストとしての成長を感じさせる作品となっている。

曲の概要

「ソーリー」は、ジャスティン・ビーバーの4枚目のスタジオアルバム『Purpose』からのセカンド・シングルとして、2015年10月にリリースされた。全体的なサウンドはポップスでありながら、ダンスホールやトロピカル・ハウスの要素が色濃く反映されており、当時の音楽シーンにおける潮流を先取りしたような仕上がりになっている。

テンポは中速で、軽快なビートとサブトロピカルなシンセサウンドが印象的である。ベースラインは滑らかでありながらしっかりと楽曲を支えており、リズムの抜き差しによって展開に緩急をつけている。全体的にミニマルな構成でありながら、繊細な音使いと効果的なブレイクによって最後まで飽きさせない。

歌詞は、過去の過ちに対する後悔と謝罪をテーマにしており、恋愛関係の修復を願う主人公の心情がストレートに描かれている。“Is it too late now to say sorry?”というフレーズは、多くのリスナーの心に残る印象的なラインとなった。

作詞・作曲とプロデューサー

「ソーリー」の作詞・作曲には、ジャスティン・ビーバーに加えて、ジャスティン・トランター(Justin Tranter)、ジュリア・マイケルズ(Julia Michaels)、スクリレックス(Skrillex)、そしてブラッドポップ(BloodPop)が関わっている。

プロデューサーであるスクリレックス(本名:ソニー・ムーア)は、EDMのシーンでは知らない人がいないほどの存在であり、この楽曲では彼の持つサウンドデザイン能力が存分に発揮されている。彼は本来エレクトロニックやダブステップにルーツを持つが、本作ではそれらの要素を極力抑え、よりポップスに寄せた洗練されたアプローチを取っている。

共同プロデューサーのブラッドポップ(旧名:Blood Diamonds)は、トロピカルでメロディックなサウンドを構築し、スクリレックスとのバランスをとる役割を果たしている。2人のプロデューサーの融合によって、クラブミュージックとラジオ向けポップのちょうど中間に位置する独特のサウンドが完成している。

ジャスティン・トランターとジュリア・マイケルズは、近年のポップソングにおいて数多くのヒット作を生み出しているソングライターコンビであり、ここでも感情に訴える言葉選びとシンプルで覚えやすいリリックが効果的に使われている。

チャート

「ソーリー」は世界中で大ヒットを記録し、アメリカのBillboard Hot 100では最高2位にランクインした。興味深いのは、その時1位を占めていたのも同じくジャスティン・ビーバーの楽曲「Love Yourself」であったことだ。これにより、彼は同時期に複数の楽曲をチャート上位に送り込むことに成功し、キャリアにおける絶頂期を迎えることとなった。

また、イギリスではシングルチャートで3週連続1位を獲得し、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツなど多数の国でも1位を記録した。SpotifyやYouTubeといったストリーミングプラットフォームでも再生数は非常に高く、YouTubeでのミュージックビデオ再生回数は現在も数十億回にのぼる。

このように、商業的にも文化的にも「ソーリー」は2010年代のポップ・ミュージックを代表する一曲となった。

ミュージック・ビデオ

「ソーリー」のミュージック・ビデオは、通常の“アーティストが出演する”タイプのものとは一線を画しており、カナダ出身の振付師パリス・ゲーベルが監督・振付を担当した。シャープでユニークなダンスを特徴とするニュージーランドのダンスチーム「ReQuest Dance Crew」が登場し、カラフルな衣装とともに軽快なダンスパフォーマンスを披露する。

このビデオは、ジャスティン本人が登場しないにもかかわらず非常に高い評価を得ており、その斬新さとダンスの完成度によって「ビジュアル・コンセプト・ビデオ」の新たな形を提示したともいえる。

また、振付と音楽のシンクロ性が非常に高く、ミュージシャンにとっては“音に合わせて身体を動かす”という観点からも参考になる作品である。特にサビの部分のループするような動きは、曲の中毒性を視覚的に増幅する役割を果たしている。

「ソーリー」は、ジャスティン・ビーバーの音楽的進化を象徴する作品であり、プロダクション、歌詞、パフォーマンスのすべてにおいて洗練された仕上がりを見せている。ポップスでありながらもダンスホールやエレクトロの要素を取り入れることで、ジャンルの垣根を超えた普遍性を獲得しており、世界中のリスナーに愛され続けている。

音楽ファンにとっては心地よく聴けるダンスポップであり、ミュージシャンにとってはサウンドデザイン、ミックス、構成の巧みさなど、あらゆる面で学びのある楽曲であるといえる。

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