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R.E.M.「ルージング・マイ・レリジョン」

R.E.M.

R.E.M.「ルージング・マイ・レリジョン」

R.E.M.の「ルージング・マイ・レリジョン(Losing My Religion)」は、1991年にリリースされた楽曲で、バンドのキャリアの中で最も成功した曲の一つだ。

独特なマンドリンのリフとエモーショナルなボーカルが特徴的で、オルタナティブ・ロックがメインストリームに進出するきっかけとなった。この曲は、一見すると宗教的なテーマを扱っているように思えるが、実際には個人的な葛藤や叶わぬ恋の感情を象徴している。

リリース後、世界中で大ヒットを記録し、R.E.M.の名を広く知らしめるきっかけとなった。この曲の背景や制作過程、そしてその影響を詳しく見ていこう。

曲の概要

「ルージング・マイ・レリジョン」は、R.E.M.が1991年にリリースしたアルバム『アウト・オブ・タイム(Out of Time)』に収録されたシングルだ。

この曲は、通常のロックバンド編成に加えてマンドリンをフィーチャーしている点が特徴的で、R.E.M.のギタリスト、ピーター・バックが偶然手にしたマンドリンを弾きながら作曲された。メロディアスでありながらも切なさを感じさせる旋律と、マイケル・スタイプの感情的なボーカルが見事に融合し、独特の雰囲気を生み出している。

歌詞は、一方的な恋愛のもどかしさや、報われない思いを表現しており、「losing my religion(信仰を失う)」というフレーズは、実際には「忍耐の限界」「失望する」といった比喩的な意味合いで使われている。宗教的な内容ではなく、個人的な感情の揺れ動きを描いた作品だ。

作詞・作曲とプロデューサー

この曲は、R.E.M.のメンバーであるマイケル・スタイプ(ボーカル)、ピーター・バック(ギター、マンドリン)、マイク・ミルズ(ベース、キーボード)、ビル・ベリー(ドラム)が共同で作曲した。

プロデュースは、バンドとスコット・リット(Scott Litt)が担当し、彼はR.E.M.の他の作品でもプロデュースを手がけている。この曲の制作では、マンドリンのサウンドを前面に出し、ロックの枠にとらわれない実験的なアプローチが採用された。

また、録音はアコースティック楽器を活かしたオーガニックなサウンドに仕上げられ、通常のギター主導のロックとは異なる、洗練された雰囲気を持つ作品となった。

チャート

「ルージング・マイ・レリジョン」は、R.E.M.にとって最大の商業的成功を収めたシングルとなった。

アメリカの Billboard Hot 100 では最高4位を記録し、オルタナティブ・ロックの楽曲としては異例のヒットとなった。さらに、Billboard Modern Rock Tracks では1位を獲得し、1991年を代表する楽曲の一つとなった。

また、イギリスの UK Singles Chart では最高19位を記録し、ヨーロッパ各国でもヒットした。特にMTVでの強力なプロモーションとミュージック・ビデオの影響により、世界的な知名度を確立するきっかけとなった。

この曲は、1992年の グラミー賞 で「最優秀ポップ・パフォーマンス(デュオ/グループ)」を受賞し、R.E.M.のアーティストとしての評価をさらに高めた。

ミュージック・ビデオ

「ルージング・マイ・レリジョン」のミュージック・ビデオは、イタリアの画家カラヴァッジョのバロック絵画をイメージしたビジュアルが特徴的だ。

監督を務めたのはターセム・シン(Tarsem Singh)で、彼は幻想的な映像表現を得意とするフィルムメーカーだ。ビデオには、宗教的なモチーフや芸術的な要素が随所に散りばめられており、視覚的にも非常に印象的な作品となっている。

マイケル・スタイプが独特なダンスを踊るシーンや、古典絵画のような構図で撮影された映像が楽曲の世界観を強調し、MTVを中心に大きな話題となった。このビデオは、1991年の MTVビデオ・ミュージック・アワード で「最優秀ビデオ賞」を含む6部門を受賞し、ビジュアル面でも音楽史に残る作品となった。


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