
バンド・エイド「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス(Do They Know It’s Christmas?)」は、1984年にイギリスで結成されたチャリティ・プロジェクト、バンド・エイドによって制作された楽曲だ。
この曲は、エチオピアで発生した大規模な飢饉を救うための支援活動の一環として作られ、多くの著名なアーティストが集結したことで話題となった。
クリスマスソングとしても広く知られる一方で、社会的メッセージを持つ楽曲として、今なお多くの人々に影響を与え続けている。
ここでは、「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」の楽曲の背景、作詞・作曲とプロデューサー、チャート成績、そしてミュージック・ビデオについて詳しく解説する。
曲の概要
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」は、1984年のクリスマスシーズンに向けてリリースされたチャリティソングだ。
当時、エチオピアでは深刻な飢饉が発生し、多くの人々が飢えと病に苦しんでいた。その状況を知ったミュージシャンのボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロは、イギリスとアイルランドの人気アーティストたちを集め、支援のための楽曲を制作することを決意した。
楽曲のテーマは、クリスマスという祝福の時期に、自分たちの豊かさを振り返りながら、遠く離れた場所で苦しんでいる人々に思いを馳せることにある。タイトルの「彼らはクリスマスを知っているのか?」という問いかけは、エチオピアの厳しい状況と、世界の無関心を象徴するフレーズとなった。
楽曲はミッドテンポのポップ・ロック調で、荘厳な雰囲気を持ちながらも親しみやすいメロディが特徴的だ。各アーティストがリレー形式で歌詞を担当し、それぞれの個性が反映された構成になっている。
作詞・作曲とプロデューサー
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」は、ボブ・ゲルドフ(ブームタウン・ラッツ)とミッジ・ユーロ(ウルトラヴォックス)の二人によって作詞・作曲された。
彼らは、当時の音楽業界において強い影響力を持つミュージシャンであり、エチオピアの惨状を知ったことをきっかけに、音楽を通じて支援活動を行うことを決意した。
プロデューサーはミッジ・ユーロが担当し、限られた時間の中で楽曲を完成させた。録音はわずか1日で行われ、多くのトップアーティストが参加する中で、スムーズに進行したという。
バンド・エイドのプロジェクトには、ポール・マッカートニーやデヴィッド・ボウイといったレジェンド級のアーティストも賛同したが、スケジュールの都合でレコーディングには参加できず、代わりにメッセージを寄せる形で関わった。
参加したアーティストには、デュラン・デュラン、スパンダー・バレエ、カルチャー・クラブ、U2のボノ、ポール・ヤング、ジョージ・マイケル(ワム!)、フィル・コリンズ(ジェネシス)、スティング(ポリス)、バナナラマなど、当時のUK音楽シーンを代表するスターたちが名を連ねている。
チャート
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」は、1984年12月にリリースされると同時に大きな話題となり、イギリスのシングルチャートで1位を獲得した。
イギリスでは発売から1週間で100万枚以上を売り上げ、当時の最速記録を更新した。その後も売上を伸ばし、最終的には300万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。
アメリカのビルボード・ホット100では13位にランクインし、チャリティソングとしては異例の成功を収めた。さらに、カナダやオーストラリア、ヨーロッパ各国でも1位を獲得し、世界的なムーブメントとなった。
1985年には、この楽曲をきっかけにアメリカでも「ウィー・アー・ザ・ワールド」が制作されるなど、音楽業界全体に大きな影響を与えた。
その後も、バンド・エイドのプロジェクトは2004年、2014年と再結成され、時代ごとに新たなバージョンの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」が制作された。
ミュージック・ビデオ
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」のミュージック・ビデオは、レコーディング当日の映像を中心に構成されている。
アーティストたちがスタジオに集まり、和やかな雰囲気の中で録音を進める様子が映し出されており、プロジェクトの意義や熱意が伝わる仕上がりになっている。
映像の中では、ボノやジョージ・マイケル、サイモン・ル・ボン(デュラン・デュラン)らが熱唱する姿が印象的で、彼らの真剣な表情が楽曲のメッセージをより強く伝えている。
また、レコーディングの合間には、アーティスト同士の談笑するシーンも収められており、チャリティプロジェクトとしての一体感が感じられる内容になっている。
Band Aid - Do They Know It’s Christmas? (2024 Ultimate Mix / Single Version)
USAフォー・アフリカ「ウィー・アー・ザ・ワールド」
USAフォー・アフリカの「ウィー・アー・ザ・ワールド(We Are the World)」は、1985年にリリースされたチャリティーソングで、エチオピアでの飢饉救済を目的として制作された。
マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーによる作詞・作曲のもと、スティーヴィー・ワンダー、シンディ・ローパー、ボブ・ディランなど豪華アーティストが参加し、音楽史に残る名曲となっている。