洋楽

フォスター・ザ・ピープル「シット・ネクスト・トゥ・ミー(Sit Next to Me)」

Foster The People

フォスター・ザ・ピープル「シット・ネクスト・トゥ・ミー」

2010年代初頭、「Pumped Up Kicks(パンプト・アップ・キックス)」で鮮烈なデビューを飾ったフォスター・ザ・ピープル。インディー・ロックを軸にしながら、ポップ、エレクトロ、サイケデリックなどを自在に取り込む彼らの音楽は、ジャンルの境界を軽やかに超える自由さと、洗練されたセンスが特徴だ。

そんな彼らが2017年に発表した「Sit Next to Me(シット・ネクスト・トゥ・ミー)」は、バンドの音楽性がより成熟し、落ち着きと深みを増したことを感じさせる一曲となっている。派手さを抑えつつも中毒性のあるメロディと、心にそっと寄り添うような歌詞が魅力であり、音楽ファンにもミュージシャンにも多くの示唆を与える作品だ。

曲の概要

「シット・ネクスト・トゥ・ミー」は、フォスター・ザ・ピープルが2017年にリリースした3作目のスタジオアルバム『Sacred Hearts Club(セイクリッド・ハーツ・クラブ)』に収録された楽曲で、同年10月にシングルとしてもカットされた。

ジャンルとしては、シンセ・ポップ、エレクトロ・ポップ、インディー・ポップなどに分類されるが、70年代ディスコや80年代のソウル、モダンなエレクトロニカの要素が絶妙にブレンドされている。ビートは柔らかく滑らかで、シンセサイザーが奏でるメロディは空間的かつメロウ。楽曲全体が穏やかで洗練されたムードに包まれている。

歌詞のテーマは、離れてしまった恋人との再接近。ストレートに「隣に座って」と語りかけるタイトルに象徴されるように、過去の痛みを抱えつつも、関係を修復したいという想いが穏やかに綴られている。過剰な感情表現を避けながらも、淡い希望と未練がにじみ出る言葉選びが秀逸である。

作詞・作曲とプロデューサー

この楽曲の作詞・作曲には、バンドのフロントマンであるマーク・フォスター(Mark Foster/マーク・フォスター)をはじめ、複数のクリエイターが関与している。

プロデュースには、マーク・フォスターに加えて、ジョシュ・エイブラハム(Josh Abraham/ジョシュ・エイブラハム)、ラーズ・スタルフォース(Lars Stalfors/ラーズ・スタルフォース)、オリヴァー・ゴールドスタイン(Oliver Goldstein/オリヴァー・ゴールドスタイン)、そしてオリジー(Oligee/オリジー)という豪華な面々が名を連ねている。

ジョシュ・エイブラハムは、30 Seconds to MarsやP!nkなどを手がけた実績を持つベテランプロデューサー。オリジーとゴールドスタインのコンビは、ダンス・ミュージックやポップスに強い影響力を持つプロダクションチームとして知られている。ラーズ・スタルフォースは、The Mars VoltaやCold War Kidsの作品で知られ、サイケデリックやインディーサウンドへの感度が高いプロデューサーである。

この布陣が作り出す音は、繊細さと精密さ、アナログ感とデジタル感が絶妙に溶け合っており、まさに“現代の洗練されたポップス”の模範といえる。ミックスや音像の構築にも隙がなく、特にミュージシャンにとっては、サウンド設計の巧みさが学びの対象になるだろう。

チャート

「シット・ネクスト・トゥ・ミー」は、フォスター・ザ・ピープルにとって「パンプト・アップ・キックス」以来の大きなヒットとなった。

アメリカのビルボードHot 100では最高42位を記録し、Alternative Songsチャートではトップ5入りを果たしている。特にラジオエアプレイでの支持が厚く、オルタナティブ・ステーションを中心にロングヒットを続けた。

また、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングプラットフォームでも高い人気を集め、公開から数年を経てもなお安定した再生数を記録している。Spotifyでは現在までに2億回以上の再生回数を誇り、YouTube上の公式ミュージックビデオも5,000万回以上再生されている。

瞬間的なバズではなく、じわじわとファンベースを広げていくタイプのヒットであり、それはこの曲が持つ普遍性と時代に左右されにくい魅力の証でもある。

ミュージック・ビデオ

「シット・ネクスト・トゥ・ミー」のミュージックビデオは、現代的なSNS文化を取り入れた非常にユニークなアプローチで制作されている。

2017年11月に公開されたこのビデオは、Instagramのフィード形式を模した構成となっており、ユーザー投稿風の映像や画像が次々に登場する。バンドのメンバーはほとんど登場せず、代わりに一般人やインフルエンサー、時にシュールな映像などが画面を彩る。

このビデオの最大の特徴は、“誰にとっても自分の物語にリンクする音楽”というテーマ性である。映像の多様性と親しみやすさが、楽曲の普遍的なメッセージと響き合い、視聴者に「自分のことのように感じさせる」仕掛けとなっている。

演出はポップでカジュアルながら、構成は非常に緻密で、SNS時代の視覚文化に対する鋭い洞察が込められている。ミュージシャンや映像制作者にとっても、新しい音楽ビデオの在り方を考える上で示唆に富んだ作品である。

Foster The People - Sit Next to Me (Official Video)

1億曲以上をCD音質で。さらに700万曲はCD超えの高音質!

🎧 Amazon Music Unlimited で今すぐ無料体験スタート!


-洋楽
-,