
シャンテイズ「パイプライン」
1960年代初頭、アメリカ西海岸で巻き起こったサーフ・ミュージック・ブーム。その中でひときわ異彩を放ったのが、シャンテイズ(The Chantays)による「パイプライン(Pipeline)」だった。エレキギターのリバーブが波のようにうねり、青春の疾走感と孤独を同時に感じさせるこの楽曲は、サーフロックの枠を超えて今なお語り継がれている。
曲の概要
「パイプライン」は、1962年にリリースされたシャンテイズの代表曲。ギターのメロディーが中心となったインストゥルメンタル曲で、サーフィン文化を象徴する楽曲のひとつとされる。タイトルの「パイプライン」は、ハワイの有名なサーフスポットの名称でもあり、楽曲全体からは波がチューブ状に巻く情景が浮かんでくるようだ。印象的なイントロと、緩やかに進行するコード進行、そして深くかかったスプリング・リバーブがこの楽曲の核となっている。
作詞・作曲とプロデューサー
「パイプライン」は、シャンテイズのメンバーであるボブ・スパイクス(Bob Spickard)とブライアン・カーマン(Brian Carman)によって作曲された。歌詞は存在しないが、その分、メロディとサウンドで全てを語る構成になっている。プロデュースを手がけたのは音楽プロデューサーのケネス・エヴァンズ(Kenneth Evans)で、彼の手腕によって当時のサーフ・インスト・サウンドの典型とも言える完成度に仕上がっている。
チャート
「パイプライン」は、1963年に全米ビルボード・ホット100チャートで最高位4位を記録。インストゥルメンタル曲としては異例の大ヒットとなり、ラジオやジュークボックスでの定番となった。その後もディック・デイルやスティーヴィー・レイ・ヴォーンなどによってカバーされ、多くの映像作品でも使用されるなど、サーフ・ミュージックの枠を超えたクラシックとして位置づけられている。
ミュージック・ビデオ
当時の「パイプライン」には、現代的な意味でのミュージック・ビデオは存在しなかった。しかし、近年ではサーフィンの映像やヴィンテージ風の映像に合わせた非公式の映像作品が多くYouTubeなどで公開されており、視覚的にも楽曲の持つ「海と波」のイメージを補完する形で人気を集めている。
NEW * Pipeline - The Chantays {Stereo} 1963