ジャクソン5「帰ってほしいの」
ジャクソン5のデビュー曲「帰ってほしいの（I Want You Back）」は、1969年にリリースされたとは思えないほど洗練されたポップ・ソウルの名曲だ。兄弟グループとは思えない完成度、そして当時11歳だったマイケル・ジャクソンの圧倒的な歌唱力が、全米を席巻した。モータウン・サウンドを象徴する1曲として、今もなお語り継がれている。
曲の概要
「帰ってほしいの」は、好きだった女の子を失った少年が、後悔の気持ちとともに「戻ってきてほしい」と歌いかける内容。マイケルの少年らしい高い声で歌われるその感情は、年齢を超えて多くの人の胸を打つ。冒頭のピアノリフとグルーヴ感あるベースラインが印象的で、ソウルとポップが高い次元で融合したサウンドとなっている。
作詞・作曲とプロデューサー
この曲を手がけたのは、モータウンの伝説的なソングライティング・チーム「ザ・コーポレーション（The Corporation）」だ。ベリー・ゴーディー、フレディ・ペレン、アルフォンゾ・ミゼル、ディーク・リチャーズの4人が共同で作詞・作曲・プロデュースを担当した。モータウン流の制作スタイルを象徴する、集団での職人的なアプローチが結実した名曲といえる。
チャート
「帰ってほしいの」は1969年10月にリリースされ、1970年1月にはBillboard Hot 100で1位を獲得。ジャクソン5にとって初の全米No.1ヒットとなり、以降も「ABC」「The Love You Save」「I’ll Be There」と立て続けに1位を獲得する黄金時代の幕開けとなった。R&Bチャートでも1位を獲得し、世界中で大ヒットとなった。
ミュージック・ビデオ
当時は現在のようなミュージック・ビデオの概念はなかったが、「帰ってほしいの」はジャクソン5がテレビ番組などで披露したパフォーマンス映像が多数残っている。特に『エド・サリヴァン・ショー』などでの演奏シーンでは、マイケルのキレのあるダンスと完璧なボーカルが視聴者を釘付けにした。その映像は現在もYouTubeなどで視聴可能で、時代を超えて新たなファンを生み出し続けている。
「帰ってほしいの」は、ジャクソン5にとっての始まりであり、マイケル・ジャクソンという稀代のスターの誕生を告げる一曲でもあった。今聴いても色褪せないその魅力は、まさに“ポップ・ソウル”の永遠の名曲だ。
The Jackson 5 "I Want You Back" on The Ed Sullivan Show