
フィル・コリンズ「恋はあせらず」
フィル・コリンズの「恋はあせらず(You Can't Hurry Love)」は、1982年にリリースされた楽曲で、彼のキャリアを象徴するヒットの一つとなった。
この曲は、元々1966年にザ・スプリームスが歌ったモータウンの名曲をカバーしたものだ。フィル・コリンズは、オリジナルの温かみのあるサウンドを残しつつ、自身のポップなアレンジを加え、見事に新しい命を吹き込んだ。結果として、彼のソロキャリアにおける初の大ヒット曲となり、世界中のリスナーに広く受け入れられた。
では、この曲がどのように生まれ、どんな影響を与えたのか詳しく見ていこう。
曲の概要
「恋はあせらず」は、フィル・コリンズが1982年にリリースしたアルバム『ハロー・アイ・マスト・ビー・ゴーイング(Hello, I Must Be Going!)』に収録されている。
原曲は1966年にザ・スプリームスが歌ったモータウンの代表的な楽曲で、ソウルフルなメロディと軽快なリズムが特徴的だ。フィル・コリンズのバージョンでは、オリジナルのアレンジを尊重しながらも、よりクリアでポップなサウンドが加えられている。
この曲のテーマは、「恋は焦らず、じっくり待つことが大切だ」というメッセージを伝えている。ザ・スプリームスのバージョンは、当時の若者たちに大きな影響を与えたが、フィル・コリンズのカバーもまた、多くのリスナーに共感を呼んだ。
作詞・作曲とプロデューサー
「恋はあせらず」は、モータウンの黄金期を支えた伝説的なソングライティングチーム、ホーランド=ドジャー=ホーランド(Lamont Dozier、Brian Holland、Eddie Holland)によって作詞・作曲された。
このトリオは、ザ・スプリームスをはじめ、マーヴィン・ゲイやフォー・トップスなど数多くのモータウン・アーティストにヒット曲を提供したことで知られている。彼らの楽曲は、キャッチーなメロディとシンプルながらも心に響く歌詞が特徴だ。
フィル・コリンズは、自身のプロデュースのもとでこの曲をカバーし、オリジナルの持つグルーヴ感を活かしつつ、より80年代のポップ・サウンドに仕上げた。特に、彼の独特なドラム・サウンドが加わることで、彼ならではのスタイルが強調されている。
チャート
「恋はあせらず」は、1982年にシングルとしてリリースされると、瞬く間に大ヒットした。
イギリスでは UKシングルチャート で1位を獲得し、フィル・コリンズにとって初のNo.1シングルとなった。アメリカの Billboard Hot 100 では10位にランクインし、他のヨーロッパ諸国やオーストラリアでも上位に食い込んだ。
この成功により、フィル・コリンズはソロアーティストとしての地位を確立し、彼のキャリアにおける重要な転機となった。この後も彼は数々のヒット曲を生み出し、80年代を代表するポップアーティストの一人となっていった。
ミュージック・ビデオ
「恋はあせらず」のミュージック・ビデオは、シンプルながらユーモアにあふれた内容になっている。フィル・コリンズが同じ衣装を着た3人のキャラクターを演じ、コーラスパートで自分自身とハーモニーを作るというユニークな演出が施されている。
ビデオのスタイルは、当時のモータウンの雰囲気を意識した演出になっており、白黒の映像やステージパフォーマンス風の撮影が特徴的だ。フィル・コリンズのコミカルな表情や動きが、楽曲の持つ軽快さを際立たせている。
MTVの黎明期に登場したこのミュージック・ビデオは、フィル・コリンズの個性的な魅力を視覚的にも伝え、多くのファンの印象に残るものとなった。
スプリームス「恋はあせらず(You Can't Hurry Love)」
スプリームスの「恋はあせらず(You Can't Hurry Love)」は、1966年にリリースされたモータウンサウンドの代表的な楽曲だ。ホーランド=ドジャー=ホーランドによって作詞・作曲され、恋愛における忍耐の重要性をポップで軽快なメロディに乗せて歌い上げている。リリース後すぐにアメリカのBillboard Hot 100で1位を獲得し、今もなお多くの人に愛される名曲となっている。