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エミネム feat. リアーナ「ザ・モンスター」

エミネム feat. リアーナ「ザ・モンスター」

エミネムとリアーナのコラボレーションは、「ラブ・ザ・ウェイ・ユー・ライ」で大きな成功を収めたことで知られているが、その続編ともいえる楽曲が「ザ・モンスター」だ。2013年にリリースされたこの曲は、エミネムの8枚目のスタジオ・アルバム『ザ・マーシャル・マザーズ LP 2』に収録されている。再びタッグを組んだ二人は、名声、精神的な葛藤、自分自身の内面に潜む「モンスター」との戦いをテーマに、深いメッセージを持つ楽曲を作り上げた。今回は、洋楽ファンやミュージシャンに向けて、「ザ・モンスター」の魅力を詳しく解説する。

曲の概要

「ザ・モンスター」は、エミネムとリアーナによる再コラボレーション楽曲で、2013年10月にリリースされた。この曲は、名声や成功に伴う精神的な苦悩と向き合うエミネムの内面を描いている。リアーナが歌うサビでは、「I'm friends with the monster that's under my bed(ベッドの下にいるモンスターと友達なんだ)」という印象的なフレーズが繰り返される。この言葉は、内なる恐怖や不安を受け入れ、それと共存して生きていく姿勢を象徴している。

エミネムのバースでは、彼がキャリアを通して経験してきた苦悩や葛藤について語られている。名声に対する複雑な感情、批判への対応、そして精神的な問題に向き合う様子が率直に描かれている。これまでのエミネムの作品と同様に、鋭いリリックとリズミカルなラップが特徴であり、聴く者に強い印象を与える。

サウンド面では、ポップとヒップホップが融合したスタイルが特徴的だ。リアーナの力強くも感情的なボーカルと、エミネムの鋭いラップが絶妙に絡み合い、楽曲にドラマチックな雰囲気を与えている。ミディアムテンポのビートとシンプルなメロディが、歌詞のメッセージ性をより際立たせている。

作詞・作曲とプロデューサー

「ザ・モンスター」の作詞・作曲は、エミネム、リアーナ、ジョン・ベル、Bebe Rexha、そしてプロデューサーのFrequencyによって行われた。Bebe Rexhaは、もともとこの曲のデモバージョンを作成しており、その後エミネムが関心を示し、最終的にリアーナがサビを担当する形で完成した。Bebe Rexhaの書いたサビ部分は、自己受容と内なる葛藤に関する普遍的なテーマを表現しており、リアーナのボーカルによってさらに力強いメッセージとして伝えられている。

プロデューサーのFrequencyは、シンプルながらも中毒性のあるビートとキャッチーなメロディを組み合わせることで、エミネムとリアーナのパフォーマンスを引き立てている。エミネムのリリックの鋭さとリアーナのソウルフルなボーカルが融合し、楽曲全体に深みを与えている。特に、リアーナのサビ部分は楽曲の感情的な核となっており、リスナーに強い印象を残す。

エミネムのバースでは、彼自身の過去のトラウマや名声による精神的負担が赤裸々に語られている。彼は、自身の成功を支える一方で苦しめる「モンスター」を受け入れることについて言及しており、その率直な表現が多くのリスナーに共感を呼んだ。

チャート

「ザ・モンスター」は、リリース直後から世界中で大ヒットを記録した。アメリカのビルボードホット100では1位を獲得し、エミネムにとって5曲目、リアーナにとって13曲目の全米ナンバーワンシングルとなった。この実績により、リアーナはビルボード史上4番目に多くのナンバーワンシングルを持つアーティストとなった。

さらに、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデンなど、多くの国のチャートでもトップを獲得している。特にアメリカでは、リリースからわずか数週間で400万ダウンロードを突破し、デジタルセールスにおいても大成功を収めた。また、この楽曲は全世界で900万枚以上のセールスを記録し、エミネムとリアーナの最も成功したコラボレーションのひとつとして位置付けられている。

この曲は、第57回グラミー賞で最優秀ラップ/サング・コラボレーション賞を受賞し、批評家からも高い評価を得た。リリックの深さ、サウンドの完成度、そして二人のアーティストによる卓越したパフォーマンスが評価され、現代のヒップホップとポップのクロスオーバー楽曲の代表作とされた。

ミュージック・ビデオ

「ザ・モンスター」のミュージックビデオは、楽曲の持つテーマを視覚的に表現している。2013年12月に公開されたこのビデオは、エミネムの過去のキャリアや人生の重要な瞬間を振り返る構成となっており、自身の内面に潜む「モンスター」との対話を描いている。

ビデオの冒頭では、リアーナが精神分析医として登場し、エミネムがカウンセリングを受けるシーンが描かれる。この演出は、エミネムが自己分析を通じて自身の過去と向き合い、精神的な問題を乗り越えようとする姿を象徴している。リアーナの存在は、彼の心の奥底に潜む問題を明るみに出す役割を果たしている。

また、ビデオの中では、エミネムのこれまでのキャリアにおける象徴的な瞬間がフラッシュバックとして描写される。「スタン」や「ザ・ウェイ・アイ・アム」など、過去のヒット曲や印象的な出来事が再現され、エミネムの人生における成功と葛藤の両面が映し出される。これにより、エミネムが名声や過去の過ちをどのように受け入れ、乗り越えてきたのかが視覚的に表現されている。

ビデオのクライマックスでは、エミネムが自分自身と向き合うシーンが描かれる。過去の映像と現在の自分が交錯する中で、エミネムは「モンスター」を受け入れる決意を固める。このシーンは、内なる葛藤と自己受容をテーマにした楽曲のメッセージを強調しており、視聴者に深い印象を残す。


エミネム feat. リアーナ「ラブ・ザ・ウェイ・ユー・ライ」

エミネム feat. リアーナの「ラブ・ザ・ウェイ・ユー・ライ」は2010年6月にリリースされた楽曲で、破壊的な恋愛関係をテーマにした衝撃的な歌詞と、リアーナのエモーショナルな歌声が話題を呼んだ。世界的な大ヒットとなり、エミネムの代表曲のひとつとなっている。


リアーナ「SOS」

リアーナの「SOS」は2006年2月にリリースされた楽曲で、1980年代のヒット曲「テインテッド・ラブ」をサンプリングしたダンサブルなナンバー。リアーナの個性的な歌声とキャッチーなサウンドが話題を呼び、彼女のブレイクのきっかけとなった。


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